動画リマーケティングを行おう!リスト作成方法や活用のコツ
リマーケティングとは、自社Webサイトなどのコンテンツに一度接触があったユーザーに、再度接触し広告などを配信する方法のことを指します。
少し乱暴に例えると、店舗に一度訪れたお客様を追いかけて、もう一度店舗に誘導するような形です。現実の店舗でこれをやると、強引でお客様に嫌われる可能性が高いのですが、インターネット上では非常に有効な方法になります。
ユーザーにとっては再度の接触になるため、1回目の接触時よりも自社サービスの購入や利用に繋がりやすく広告効果が高いという特徴があります。
今回はそんなリマーケティングの中でも、動画リマーケティングについて詳しく見ていきたいと思います。動画リマーケティングの仕組みや、行うメリット・デメリット、活用方法について解説しますので、ぜひ参考にしてみてください!
目次
動画リマーケティングの仕組み
動画リマーケティングでは、YouTubeの自チャンネルに投稿した動画に接触したユーザーをリスト化し、そのリストを元に再度接触する形になります。
通常のリマーケティングは、自社ウェブサイトなどに訪れたユーザーに対して、再度接触して広告などを配信するのに対して、動画リマーケティングは「動画を見たユーザー」に対して再度接触して広告などを配信するというわけです。
動画リマーケティングのメリット・デメリット
動画リマーケティングのメリット・デメリットをそれぞれ確認しておきましょう。
動画リマーケティングのメリット
動画リマーケティングのメリットは、世界最大の動画投稿サイトであるYouTubeを利用して、ユーザーを集めてリスト化できるという点にあります。
多くの人が動画をスマホなどで気軽に楽しんでいますので、その趣味趣向を捉えることができれば動画が一気に拡散されることもあります。そうすると、動画視聴者をリスト化できるだけではなく、動画の拡散に従って自チャンネルも一気に成長するため自チャンネル自体にも広告効果がつきます。
動画リマーケティングのデメリット
動画リマーケティングを行うには、動画を制作する必要があります。テキストが主体となるWebサイト制作と比較すると、動画のほうが制作する難易度は高めとなるでしょう。また、動画制作を行う能力があるとしても、ユーザーを惹きつける魅力ある動画を作るのもまたそれなりのノウハウが必要です。
後述しますが、YouTube広告を利用して動画を見てもらうこと自体は可能です。しかし、魅力がありユーザーを惹きつける動画を作るほうが、自チャンネルの成長にも繋がりますしリスト化も容易になるでしょう。
このように動画リマーケティングのデメリットは、動画制作のハードルの高さと魅力的な動画コンテンツ制作が難しいという点になります。
ただし、動画制作はプロに外注するという手段もあるので、自社での動画制作が困難な場合は外注を検討してみるのも良いでしょう。
動画リマーケティングの活用方法
リマーケティングの典型的な活用方法としては、自社動画を視聴したユーザーに対して、広告を配信して購入などのアクションを求める形になります。
ブランディングに活用する
購入を促すような広告だけではなく、イメージ動画を配信するなどしてブランド知名度を高めるのにも有効です。例えば、犬に関する分野でサービスを展開している場合は、犬の動画を見た人に対してすぐに購入に結びつかないとしても、「犬に関することならこの会社を利用しよう」と思わせるようなイメージ動画を配信することも可能です。
このような形で自社が展開する分野でのブランド認知度を上げていくことに活用することもできるわけです。
細分化されたユーザーのリスト化をして活用する
動画リマーケティングの活用方法として見逃せないのが、より細かいユーザーの欲求に沿った顧客リストを手に入れることも可能になるという点です。
例えば、自社サービスで提供しているものが、犬の中でもチワワという犬種に限定したものという場合に、チワワに関する動画をYouTubeに投稿します。
そうすると、当然のことながらチワワに関する動画を見たユーザーというのは、犬の中でもチワワに興味がある人ということになります。これにより絞り込まれたユーザーリストを獲得できるので、チワワに特化した広告でユーザーに再接触ができることになるのです。
動画リマーケティングは、このように細分化された見込客リストを手に入れるためにも利用できます。
ただし、あまりに細分化された分野の動画では、動画を視聴してもらうのが難しくなるので、リストが手に入りづらくなるというデメリットもあります。どの程度まで細分化して動画リマーケティングを行うかは要検討ということになります。
YouTubeに広告を配信してリストを多く獲得する
自チャンネルの自然な視聴者数だけでは満足できる数のユーザーをリスト化できず、動画リマーケティングを有効に活用できない場合もあります。
そんなときに活用したいのがYouTubeに動画広告を出して、視聴者数を増やすという方法です。
YouTube広告による動画視聴者の獲得は、比較的安価(1視聴数円程度)で行うことができるため、有望なユーザーのリストを手に入れやすい手法になります。
この方法によるメリットは、リスト化を促進することだけではなく、自チャンネルの視聴者数や登録者数を増やすことに繋がる点です。これにより自チャンネルが成長し、自チャンネル自体の広告効果も増していきますので、動画リマケーティングとの両輪で自社の広告効果を増幅させることが可能になります。
動画リマーケティングリストの作成方法
動画リマーケティングリストを作成するには、YouTubeとGoogleが提供する広告アカウント「Google広告」を連携する必要があります。
以下、YouTube側から連携する方法と、Google広告側から連携する方法を説明します。
YouTube側から連携する方法(2019年4月現在)
- YouTube Studioにログイン
- 左側メニューの『設定』をクリック
- 『その他の設定』→『チャンネルの詳細設定』を順次クリック
- 『AdWords アカウントのリンク設定』が表示されるので、クリックし手順に従い『完了』をクリック
※以上の手順はYouTube Studioベータ版によるものです。
※『AdWords』は『Google広告』の旧名称です。
Google広告側から連携する方法
- Google広告にログイン
- ログイン後の画面右上にある『ツール(スパナマーク)』のアイコンをクリック
- 『設定』の『リンクアカウント』をクリック
- 『+』をクリックし、連携するYouTubeチャンネルを手順に従って追加する
- チャンネルの所有者ではない場合は、別途所有者に対してリクエスト承認の手続を行う
以上の手順で、YouTubeアカウントと、Google広告アカウントの連携ができれば準備が完了です。
Google広告の共有ライブラリにある『オーディエンス マネージャー』をクリックし、『オーディエンス リスト』から動画リマーケティングリストを作成することができます。
どんなリマーケティングリストが作れるの?
作成可能なリマーケティングリストは、以下のとおりです。
- チャンネルの動画を視聴
- 特定の動画を視聴
- チャンネルの動画を(広告として)視聴
- 特定の動画を(広告として)視聴
- チャンネル登録
- チャンネル ページにアクセス
- チャンネルの動画を高く評価
- チャンネルの動画を再生リストに追加
- チャンネルの動画にコメントを追加
- チャンネルの動画を共有
どれを選ぶかで、作成されるリマーケティングリストの質が変わります。順にチェックしていきましょう。
1.チャンネルの動画を視聴
これはチャンネル内にある動画を視聴したユーザーをリスト化するものになります。チャンネル内にある動画すべてが対象になるので、より幅広くリスト化したい場合に利用しましょう。
反対にリスト化する対象を限定したい場合には、注意が必要です。
例えば、犬に関するサービスを広告する内容で、ユーザーに再接触して伝えたいケースを考えてみましょう。このようなケースで、チャンネル内に猫や鳥など他動物の動画が幅広くある場合に、この方法でリストを作ると猫や鳥に興味を持っているユーザーがリストに含まれることになり、動画リマーケティングで再接触しても広告効果は落ちます。
そのため、このようなケースではこの後説明する『2.特定の動画を視聴』などのほうが向いているでしょう。
2.特定の動画を視聴
チャンネル内でも特定の動画のみを視聴した場合に、リスト化するものです。より細分化された広告などで、ユーザーに再度接触したい場合はこちらのリストがよいでしょう。ただし、指定した動画の視聴回数が伸びない限り、リスト化は進まないことになります。
前項で説明した、犬に関するサービスを提供したいと考えている場合を例にしてみると、自チャンネル内の犬の動画の視聴者のみをリスト化することで、犬に興味を持っているユーザーだけに再接触ができることになります。反対に、犬だけではなく、動物全体に対するサービスを提供したい場合などには向かない方法になります。
3.チャンネルの動画を(広告として)視聴
チャンネル全体の動画を対象にしてリスト化したいが、チャンネル自体の視聴者数が多くない場合や、より多くのユーザーをリスト化したい場合に利用します。広告で動画を配信して視聴数を伸ばしてリスト化することができるので、より多くのユーザーにリマーケティングをしたい場合に有効です。
ただし、ユーザー自身が望んで動画を見たわけじゃないケースも含まれるので、ユーザーの質は落ちることが多いです。
広告ではなく視聴した動画は、ユーザー自身が自分で興味がある分野を検索して、タイトルやサムネイルを確認して視聴しています。そのため、その動画に関する分野への興味は強いものがあります。それに対して、広告により配信された動画は、ユーザー自身が検索するなどして能動的に視聴するものではありません。目的の動画を見る前に、広告が流れて仕方なく視聴しているケースが含まれると考えられるためです。
4.特定の動画(広告として)視聴
細分化されたユーザーをリスト化したいが、その特定の動画の視聴者数が伸びないときに利用するとよいでしょう。
5.チャンネル登録
チャンネル登録したユーザーだけを、リスト化するものです。チャンネル登録をしてくれている時点で、見込み客としては優良と考えられるので、高い効果が期待できます。しかし、チャンネル登録者が少なければ、ほとんど効果は見込めません。
6.チャンネルページにアクセス
動画を視聴していないとしても、チャンネルページにアクセスしてきたということは、チャンネル内容には興味を持っている可能性があります。ただし、他方法に比べると実際に動画を視聴していないユーザーも含まれるため、見込み客としての質は落ちることもあります。
7〜10.チャンネルの動画を高く評価、再生リストに追加、コメントを追加、共有
7~10に関しては、チャンネル動画を視聴した上で、更に高い評価をしてくれたユーザーや、コメントをするなどの積極的な行動をしたユーザーということになります。これまで紹介したものの中では、一番積極的なユーザーをリスト化できるものになります。
しかし、一般的には動画を高く評価しコメントをするユーザーは100再生で数人程度となるので、チャンネル全体での再生数が多くなければリスト化するのは難しくなります。
配信できるリマーケティングとは
リマーケティングの配信は、動画広告だけではなく、Googleが提供するテキスト広告や、イメージ広告を利用することが可能です。自社の都合や、ユーザーの好みに合わせた接触を行うことができるようになっているわけです。
また、リマーケティングの配信は『YouTubeの中で行う』『YouTubeの外で行う』『YouTubeの中と外の両方で行う』の3パターンで行うことができます。それぞれに、どのような特徴があるのか説明していきます。
YouTubeの中でリマーケティングを行う
動画リマーケティングをYouTubeの中だけで、完結させることも可能です。
YouTube内の自チャンネルに接触したユーザーに対して、YouTube内で再度接触をする形になります。YouTube広告は以下のように様々な形があります。
- インストリーム広告……スキップ可能な動画広告
- ディスカバリー広告……画面端に表示されるクリックすると再生される動画広告
- バンパー広告……スキップ不可能な動画広告だが6秒と短尺
- オーバーレイ広告……動画再生画面上に表示されるバナー広告
上記のとおり、YouTubeの中でもいろいろな広告配信の形があります。

YouTubeの外でリマーケティングを行う
YouTubeの外でリマーケティングの配信を行うと、YouTubeから離れたユーザーにも再接触を図ることができるようになります。
YouTubeの外でリマーケティングの配信を行う場合は、主に次の2つにの方法があります。
- Google検索ネットワークに配信……Googleの検索結果に広告表示させることができる
- Google ディスプレイ ネットワーク……Googleの広告バナーなどを設置している各種ウェブサイトで広告表示させることができる
YouTubeの中と外の両方でリマーケティングを行う
動画リマーケティングの効果を最大限に得たい場合は、YouTubeの中でも外でも、一度接触したユーザーを追いかけるようにするのがおすすめです。
おわりに
今回は動画リマーケティングについて解説をしてきました。
まとめると、動画リマーケティングは以下の2点が大事なこととなります
- リマーケティングリストをどのように作成するのか
- リマーケティングの配信をどう行うのか
以上の2点について適切に運用しなければ、動画リマーケティングの効果を最大限享受することはできません。
自社の状況、想定するユーザー層、浅く広く広告配信したいのか、深く狭く広告配信したいのかという点を洗い出して頂ければ、上記2点についてどのように運用すると良いのかが分かってきます。
動画広告は今後更に、重要度が増していくと予想されますので、この機会に理解を深めて導入を検討してみるとよいでしょう。