【一から知りたい!】インフルエンサーマーケティングのはじめかた
タレントやモデルなどの有名人のほか、今や一般の主婦やイラストレーターでも誰もがなれる可能性がある「インフルエンサー」。
さまざまなマーケティングの手法がありますが、中でもこのインフルエンサーによるインフルエンサーマーケティングが注目されています。インフルエンサーマーケティングの仕組みや効率の良いマーケティングの方法など、インフルエンサーマーケティングの始め方について見てみましょう。
目次
インフルエンサーマーケティングについておさらい
そもそも、インフルエンサーとはどのようなものでしょうか?インフルエンサーとは、有名人をはじめ、世間への影響力が大きい人のことです。
おもにSNSやブログ等で活躍し、そのフォロワー数は数万人から数十万人。さまざまなジャンルで情報を発信しており、その拡散力が評価されている人たちのことを指します。たとえば、その人が愛用しているコスメが爆発的なヒットをしたり、好物だと発言した食べ物がスーパーで手に入りにくくなったり、さまざまな影響が考えられます。
テレビや雑誌などのメディアで活躍している有名人だけでなく、ツイッター・インスタグラムなどのSNSを中心に活動している一般の方も、誰もがインフルエンサーになれる可能性があります。
インフルエンサーが活動するプラットフォームはさまざまです。
- Instagram(インスタグラム)
- Twitter(ツイッター)
- TikTok(ティックトック)
- ブログなど
このようにさまざまな媒体がありますが、その中でいかに影響力・発信力を持つかが、インフルエンサーと呼ばれるカギになります。
そんなインフルエンサーとタッグを組んでマーケティングを行うのが、インフルエンサーマーケティングです。企業はアピールしたい商品やサービスの宣伝をインフルエンサーに依頼することで、一方的に広告を垂れ流すのではなく、より訴求したい層に対して効果的に宣伝が可能となります。
従来のマーケティングとの比較
商品やサービスの宣伝において、従来のマーケティングといえば企業側がユーザーに向けてテレビCMや雑誌広告等の媒体を使って、広く浅く宣伝をしていました。
しかし、インフルエンサーマーケティングの場合、そのインフルエンサーが属するコミュニティに対して深く訴求を行うことができるため、インフルエンサーの選定や依頼方法のセオリーを守れば高い効果が得られます。
訴求効果が高い
インフルエンサーが使っている・おすすめしているという広告内容のため、商品だけを紹介するこれまでのマーケティングと違い、インフルエンサーと商品(サービス)という二重の訴求効果が得られます。また、商品を推す単純な内容ではなく口コミ要素が高いため、説得力の高い内容の投稿が可能です。
インフルエンサーの探し方と依頼方法
では、企業はインフルエンサーをどのように探して依頼をすれば良いのでしょうか。順に説明していきます。
ターゲットの選定
まず、訴求を行いたいターゲットを絞ります。
たとえば、10代のころと同じスキンケアでは物足りなくなってきた、いわゆる「お肌の曲がり角」の世代に、少し価格が高めの美容液を販売したいとき。
- 20代~30代前半の女性
- 美容に関連した雑誌をよく読む
- プチプラよりも品質やコスパ重視
このあたりの女性が、どのような芸能人やモデルに強く興味を持っているかを調べれば、マーケティングは容易です。人気モデル、支持が高い読者モデル、主婦インフルエンサーの方、美容に関する職業に就いて発信を行っている方などが当てはまるでしょう。
選定の重要ポイント「気持ち」
インフルエンサーをピックアップしたら、次に考慮すべきは、そのインフルエンサーがどのようにサービス・商品をアピールしてくれるかということです。
いくら人気のあるインフルエンサーであっても、実際に使っている・今後使いたいという思いがなければ、ユーザーには「ただのPR」として見透かされてしまうものです。
商品やサービスの認知のみが目的であればそれでもかまいませんが、購買につなげる訴求の場合はコンバージョン改善が見込まれず、ただのPRで終わってしまうことにもなりかねません。そのインフルエンサーが実際に「良い」と評価し、これをみんなに使ってもらいたい・知ってもらいたいという気持ちが、大きな説得力でありマーケティングの戦力となります。
つまり、実際にインフルエンサーへの依頼をする前には、必ずそのインフルエンサーが商品を推してくれるかどうかを見極めなくてはなりません。
そのためには、依頼をするインフルエンサーの趣味嗜好や交友関係などを知り、より薦めやすい商品・サービスとマッチングさせる必要があるということです。
選定の重要ポイント「目的」
その商品やサービスの宣伝をインフルエンサーに依頼するにあたり、重要なのが「マーケティングの目的」です。
- 広く知ってもらいたい(認知)
- 買ってもらいたい(購買)
- 情報を共有してもらいたい(共有)
など、マーケティングにはいくつかの目的があります。年齢層を問わず広く知ってもらいたい、商品販売サイトに誘導して購買につなげたい、情報拡散してもらいたい…など。
認知が目的であれば、とにかくフォロワー数の多いインフルエンサーや、メディアへの露出が多い旬のインフルエンサーに依頼するのが効果的です。購買目的であれば、より強い説得力が必要となります。特にコスメのように口コミによる購買行動が多いものは、効果が高いと言えるでしょう。
情報の認知とともに拡散をしてもらいたいものは、 InstagramよりもTwitterにするなど媒体の選択も重要ですが、それをツイートしてもらうインフルエンサーの選定がとても重要です。
選定の重要ポイント「イメージ」
宣伝を依頼するインフルエンサーに対し、周囲がどのようなイメージを持っているかを見極めなくてはなりません。
いくらフォロワー数が多くても、それがファンではなくいわゆる「アンチ」と呼ばれるユーザーだった場合、情報の拡散につながらないことや、紹介した商品・サービスのイメージダウンという懸念もあります。健全なイメージであり、かつ多くのユーザーに支持されているインフルエンサーを適切に選ぶことで、商品・サービスに対するイメージアップにもつながります。
もうひとつ注意しておきたいのが、商品・サービスを紹介したその時だけではなく、その後もデータとしてその発信した投稿が残るという点についてです。インフルエンサーを取り巻く環境は次々に変化していきます。たとえば、インフルエンサーの仕事においてランクアップしていくうちに交友関係が広がることで、あまり周囲に支持されない人・アンチが多い人と付き合うようになったり、自身の生活が一変することも考えられます。
「以前こういう商品やサービスを紹介していたよね」という記録は、ネット上にいつまでも残ることになります。
長期的な商品の訴求を狙う場合、これが足を引っ張る結果となることもじゅうぶんに考えられますが、もちろん未来のことまですべて予想することはできません。
重要なのは、インフルエンサーの周囲や趣味嗜好をリサーチし、あらゆる可能性を考えた上で選定をしなければならないということです。
依頼の方法
モデルの方や、一般人でもフォロワーの多いインフルエンサーはInstagramやTwitter などのSNSを通じて仕事を請け負うことが多いものです。商品やサービスを訴求するターゲットとインフルエンサーの選定をしたら、実際にマーケティングの依頼を行いますが、依頼の方法としては「ダイレクトメール(DM)」が主流となっています。
事務所に所属しているインフルエンサーは事務所を通す必要がありますが、そうではない場合はインフルエンサーに直接連絡をする必要があります。万単位のフォロワーには満たないけれど、明らかに一般的なユーザーよりもフォロワーが多い・拡散力をもつユーザーは「マイクロインフルエンサー」とも呼ばれ、一線を画す存在として扱われています。
マイクロインフルエンサーの場合はほとんどの場合が個人でのやり取りを行うことになりますので、依頼を受けてもらえるようインフルエンサーとの親和性が高い案件依頼を送ることが大切です。インフルエンサーへの依頼を考えている場合、まずはコンタクトをとることです。
インフルエンサーに支払う料金の相場とは
依頼を行う側が気になるのは、インフルエンサーへの報酬です。インフルエンサーにどのような発信をしてもらうかによって、報酬の計算方法や相場が異なります。
サービスやイベントなど情報の発信
近々イベントがある、アプリをリリースした、新しいサービスが始まった、といった文字や画像による情報発信の場合、依頼をするインフルエンサーのフォロワー数をベースに計算される場合が多いです。
たとえば、「依頼時のフォロワー数×単価」という風な計算が行われます。この金額はサービスの規模や依頼をするインフルエンサーの数などで異なりますが、単価の相場は3~5円、 Instagramのように画像を投稿する手間がある場合は6~8円など高くなることもあります。
実際に多く依頼を受けているインフルエンサーに相談をして費用のすり合わせを行うほか、マーケティングにかける費用との兼ね合いから報酬額を決めていきましょう。
商品の告知や発信
新商品の告知や紹介の場合、商品そのものをインフルエンサーに送り、レビューとともに投稿してもらうという方法が一般的です。特にスキンケア商品・ボディケア商品などビフォーアフターが気になるもの、ファッション関連の商品などサイズや着用感が気になるものは、文章よりも写真やイラストがあると一気に説得力のある発信になります。
この場合、多くは報酬ではなく商品の送付のみで済むことから、コストパフォーマンスに優れた依頼方法となっています。
効果的な投稿スケジュールとタイミング
インフルエンサーへの依頼を行ったあとは、実際に投稿をしてもらう内容のほか、重要なタイミングについて指示を出しましょう。より多くのユーザーが閲覧・利用している時間帯を狙うことで、認知や拡散効果が高まります。
たとえば、主婦層に向けて宣伝を行う場合は、朝の家事や子どもを送り出した落ち着いた昼過ぎに、OLやサラリーマンなど会社員に向けた宣伝なら、一般的な昼休憩の時間となる正午からの時間を狙うなど、訴求を行う層それぞれに効果的な時間があります。
これらの時間を考え、より効果的に宣伝ができるだろう投稿時間を計算しましょう。朝・昼・夜でスマートフォンやタブレットを使い、情報に触れやすくなるタイミングはこちらです。
- 朝…朝食時、通勤や通学時間など
- 昼…昼食時、休憩時、外回りなどの移動時間、子どもの昼寝時間など
- 夜…夕食時、帰宅時間、家でのリラックスタイムなど
利用するSNS・訴求するクラスタでも考慮
Instagram ・Twitterなど利用するSNSによっても、アクティブユーザーが増加する時間が違います。さらに、どのようなクラスタ(コミュニティ)に訴求を行うかでもタイミングを考えなくてはなりません。
たとえば、ティーン向けのコスメの場合なら、あまり遅い時間の投稿は効果があらわれるのが遅くなります。逆に、早朝の通学時間帯であればまずスマホでSNSをチェックするというユーザーが多くなるため、早朝の投稿は効果が見込めます。
インフルエンサーが属しているコミュニティに対し、より効果的な訴求ができるよう投稿のタイミングを考える必要があります。
投稿のチェックは忘れずに行おう
インフルエンサーへの依頼を行ったら、そのまま投稿してもらうのではなくまずは下書き状態を送ってもらい、チェックしましょう。
主に確認するポイントはこちらです。
- 文面と写真(画像)の確認
- ハッシュタグの確認
- 商品やサービスのURLの確認
その後、適切な投稿時間の指示や、実際の投稿がきちんと行われているかどうかを確認すると良いでしょう。
ステマに見えないかどうかもチェック
ステルスマーケティングは一般的に「ステマ」と呼ばれ、いわゆるやらせのことを指します。実際には使っていない商品やサービスを、あたかも自分が使っているかのように見せかけて宣伝を行うことです。
多くのインフルエンサーはステマを行うことのリスクを理解しており、実際に利用できない商品やサービスの宣伝については依頼を断るということが多くなっていますが、そうではない場合もあります。自分で使わないにも関わらず、報酬や知名度アップを目的として依頼を受けることがあります。
商品やサービスを誠実に売り込んでいく中で、こういった行為が発覚した場合にはそのインフルエンサーの周囲はもちろん、商品・サービスの信頼度も大幅に低下してしまいます。
繰り返しになりますが、企業側も不利益を被らないよう、インフルエンサーへの依頼を行う場合にはその人の趣味嗜好や人となりを知ることが大切です。
まとめ
インフルエンサーを起用したマーケティングは、ターゲットの選定や投稿タイミング、投稿内容、訴求するコミュニティや背後にある関係など、きめ細やかなリサーチが必要なマーケティング方法です。
ただし、これらの内容に適切に当てはまるインフルエンサーを見つけることができれば、マーケティング効果を最大限発揮することができるでしょう。
今では当たり前と言っても過言ではないインフルエンサーマーケティングですが、今後もさまざまなジャンルで影響力の高いインフルエンサーが誕生し、注目されていくことでしょう。