メールマーケティングって?配信手順や使えるメール配信ツールを紹介
デジタルマーケティングの手法は多角化し、検索エンジン、SNS、メール、Webサイトなど、企業は様々な手法やチャネルでマーケティングを行っています。
デジタルマーケティングの手法の1つであるメールマーケティングは、どのようなマーケティング効果を生み出すのかご存知ですか?
今回は、メールマーケティングの説明から、メリット、種類や成功させるポイント、配信システムについてご紹介していきます。
目次
メールマーケティングとは
メールマーケティングとは、何らかのマーケティングの目標指標を達成させるために、Eメールで顧客へアプローチすることを言います。
よく、メルマガとメールマーケティングは混同して考えられがちですが、下記のように意味合いが異なります。
メルマガは「顧客に対して、一斉に同じメールを配信して情報発信すること」で、メールマーケティングは「顧客一人一人に最適化された内容を、最適化された時間に配信すること」を意味しています。
つまり、メルマガは特にセグメントを切らずに全員に同じ内容を訴求しているのに対し、メールマーケティングは誰に何のメールを配信するのか個別最適化された訴求を行うという違いがあります。
小さな違いのように感じられますが、マーケティングを行う上では非常に大きな効果の差を生み出すポイントとなります。
メールマーケティングのメリット
メールマーケティングには大きく分けて5つのメリットがあります。
低コストでスタートできる
メールマーケティングは、Web広告やチラシ、FAXなど他のマーケティング施策に比べて、メールツールの導入程度で安価に始めることができます。
高いROIを獲得できる
メールマーケティングは基本的に自社サービスの登録顧客へのアプローチとなりますので、他施策に比べてコンバージョンしやすく、先程も述べ通り低コストでの実施が可能なため、高い費用対効果を実現することができます。
顧客に最適な情報を配信できる
メルマガと比較すると、メールマーケティングは顧客に最適なアプローチを行うことが可能です。
多くのメールマーケティングが自社サービスの登録顧客へのアプローチとなりますので、自社で取得している顧客の属性(年齢、性別、居住地)や、顧客の行動履歴(会員登録、ログイン、予約や購入などのアクション)をもとにメールを配信することができます。
そのため、従来のメルマガと比較すると、ユーザーの直前の行動や心理状態をもとにしたアプローチが可能となり、よりユーザーがコンバージョンしやすい状態となります。
効果が定量的に計測できる
メールマーケティングは、メール配信ツールなどを使用して行う場合が多く、効果の計測を行うことが可能です。
集計する項目としては、以下のようなものがあります。
- 送信数
- 配信数
- 開封数
- リンククリック数
- 配信停止数
これらの数値をもとに、開封率やリンククリック数などをコンバージョン指標として効果測定していきます。
一配信ごとに効果の集計を行うことができますので、セグメントや配信日、配信時間などでA/Bテストを行い、メール効果の最適化を図れます。
既存のコンテンツを再利用できる
メールマーケティングでどんなコンテンツを送るかは自由です。例えばWebサイトに掲載している特に効果の高かったキャンペーンがある場合は、そのコンテンツ自体の使い回しを行うことができます。
HTMLメールとして配信する場合、ゼロからクリエイティブを作成する必要がないので、非常に低コストで配信を行うことができます。
メールマーケティング種類
メールマーケティングには、様々な配信方法があります。
メールマガジン(定期配信)
メールマガジンは一般的にメルマガと呼ばれるもので、サービスに会員登録しており、配信許諾をOKにしている方に配信を行います。
例:
- 新商品のお知らせメール
- 季節性のメール
- セール情報
ステップメール
ステップメールは何かアクションを行った顧客に対して、段階的に配信を行うメールです。顧客のアクション状況に応じたメール配信を行うことが可能なため、より顧客がコンバージョンしやすくなります。
シナリオやトリガー配信を設定しておけば、自動的に配信を行うことが可能です。
例:予約サービスで会員登録したユーザーに対してメールを配信する場合
1通目:予約サービスの使用方法に関して
2通目:予約サービスを利用するメリット
3通目:登録住所に基づいた予約できる店舗一覧
ターゲティングメール(セグメントメール)
ターゲティングメールとは、取得している顧客情報をもとに配信するメールを指します。
メリットでも述べた通り、自社で取得している顧客の属性や、顧客の行動履歴をセグメントに切る軸としてメールを配信することができます。
メールはよりセグメントを切って配信することで効果が最大化していくため、適切な仮説をもとに最適なセグメントへ配信することを心がけましょう。
例:ECサイトで、女性向け美容器具の新商品の販売を始める場合のセグメントでCVRを通常より高めに設定したい場合
- 女性
- 20〜30代
- 最終ログイン60日以内
トリガーメール
何かのアクションをトリガーとして、即時配信を行うことができます。これは顧客の行動履歴をデータベース及びメール配信ツールと連携しておくことが必須ですが、より顧客の行動状態に適した配信を行うことができます。
メールマーケティングを行う手順
メールマーケティングは様々な種類があることをご説明してきましたが、メールマーケティングを行ううえで、どのメールにおいても共通した設計方法があります。
ここでは、その設計方法の手順について一例をご紹介していきます。
1:メールを配信する目的を設定する
メールを配信するためには、まず何のためにそのメールを配信するのかを決める必要があります。目的が決まらないままでメールの内容を作成しだすと、内容がずれてしまいがちです。何を軸として意思決定するのかを立ち戻るためにも目的を最初に決めて置きましょう。
例えば、ECサイトであれば、
- 新規会員登録数を増やす
- 初回発注数を増やす
- 2回目の次月発注率を高める
- 既存顧客のリテンションを行う
- 休眠顧客の再発注数を増やす
などが考えられます。
2:プランニングを行う
目的が決まったらプランニングを行います。フレームワークは企業によって様々ありますが、一例をご紹介します。
<フレームワークの一例>
- 目的
- セグメント
- 顧客の想定課題
- 根拠となる数字
- メールによる顧客の態度変容
- シナリオの有無
- 構成案
メールの配信数は多ければ多いほど、顧客の配信停止率は高まります。ただメールを乱発するのではなく、全体的なメールの設計を行ったうえで、配信を進めていきましょう。
3:KPIを設定する
プランニングが完了したら、メールを配信した際の効果目標(KPI)を設定します。
既に過去に同様の事例があるのであれば、それをもとに数値目標を設定しましょう。特にない場合は、競合や類似のサービスなどの共通した成果からKPIを設定していきます。
KPIを設定しないと、そのメールの効果が良かったのか悪かったのかを判断できないため、必ず設定するようにしてください。
4:メールコンテンツを作成する
メールの配信はHTMLとテキストの2つがあります。配信ツールによっては、HTMLのみの場合でも、配信エラーの際に自動でテキストメールが配信されるような仕様になっている場合もありますので、事前に確認しておきましょう。
HTMLの場合は、HTMLソースや中に入れる画像データが必要となります。デザイナーやコーダーへの依頼が必要となる場合もあるため、どのような内容をどのようなデザインで送りたいのかは、事前に確定させたうえで余裕を持ったスケジュールを押さえておきましょう。
5:配信リストを準備する
ここまで準備が整ったら、メールを配信するセグメントの配信リストを準備します。使用しているメール配信ツールのキーがアドレスか会員IDなのか次第で抽出する情報が異なってきますので、事前に把握したうえで抽出を行いましょう。
6:配信設定を行う
メールコンテンツ、配信リストを準備したらいよいよ配信です。
配信に際してはメール配信ツールを使用しますが、事前に入稿したメールのテスト配信や設定は誤りが無いように、細心の注意を払って行いましょう。メールは特に個人情報を扱う業務のため、事前に用意したチェック項目をもとにダブルチェック、トリプルチェックを行う企業が多いです。
7:効果検証する
配信が完了したら、メールの効果検証を行います。設定したKPIをもとに、効果が良かったのか悪かったのか判断します。
良し悪しを判断したあとは、なぜそのメールの効果がそうであったのかを検証しましょう。プランニングで作成した仮説が間違っていたのであれば、今後どのようなメールを配信していくのか改善を行い、次回配信に備えます。
ここまでメール配信の手順の一例をご紹介してきましが、大事なのは検証できる仮説を準備しておくことです。大抵の施策は上手くいかないというスタンスのもと、より精度の高い仮説を実行していきましょう。
メールマーケティングを成功させるポイント
メールマーケティングを成功させるためのポイントを2つご紹介します。
タイトルの付け方は開封しやすいものに
メール効果を左右するものは「メールの開封の有無」と言えるくらい重要です。
一般的に、メールシステムにおける表示文字数はPCで50文字程度、スマホで17〜20文字程度です。BtoBサービスなのか、BtoCサービスなのかによって、どちらで閲覧させるか違いが出てきます。配信ターゲットに合わせて調節するようにしましょう。
メールタイトルの付け方は下記のような手法があります。
- 【】<>などのくくり符号をつけて強調ポイントを明確にする
- 『無料』『人気』『TOP〇〇』など有益な情報であることを明示する
- 『先着』『締切間近』などすぐに行動を促す
- 疑問系にする
このようにいくつかパターンがあるので、A/Bテストなどを行いながら効果の高いものを探してみましょう。
メールで全てを伝えない
メールは文字数制限がないので、多く語りすぎてしまいますが、メールはあくまで自社サイトへの誘導をさせることが目的です。例えば、商品の説明を一部表示させ、リンクをクリックしてもらい自社サイトで続きを読んでもらうという導線にすると良いでしょう。
ただし、メールコンテンツ内でそのまま申込みフォームへ誘導するなど、メールで完結するような場合は、しっかりメールで内容を伝えるようにして効果を高めましょう。
メールマーケティングに活用できるメール配信システム
メールマーケティングに使用できるサービスを無料、有料サービス別でご紹介です。
無料のメール配信サービス
サルのキャラクターが印象的な海外製のメール配信ツールです。無料プランでもHTMLメールやステップメールを配信することができます。
管理画面や配信画面が英語ですが、直感的に使えるようになっているため、比較的使いやすい海外ツールと言えます。
無料配信ツールの中では知名度が高いツールです。
ただし、ステップメールの利用ができないため手動で配信をする必要があります。そのため、企業でメールマーケティングを本格的にやる場合は使えないことも多いかもしれません。
まぐまぐ同様知名度の高い配信サービスです。メール配信を行うと、クリック数に応じてポイントを貰える機能がついており、ポイントは現金、お食事券などの商品に交換ができます。
顧客リストが100件までであれば無料使用が可能です。それ以上のリストに配信を行うなど有料機能を利用する場合は、30日以内の無料体験サービスが利用できます。
有料のメール配信サービス
blastmailは法人導入シェア数7年連続No.1のサービスです。月額2,000円からと低コストなため、初めてメール配信を行う方やコスパよく試してみたい方におすすめです。
HTMLメールの作成や配信ターゲットの設定、開封率やクリック率の計測もしっかり行うことができます。
WiLL Mailは高機能を安価に使用できるコスパの良いサービスです。
UIが優れており、直感的な操作が可能です。開封、クリック率などのコンバージョン指標に関しても、グラフやヒートマップを用いて比較することができます。
料金形態は2つあり、配信通数による従量課金とアドレス件数による定額課金があるため、利用用途によって使い分けることができ、毎月自由に切り替えられます。
Cuenote FCは業界トップクラスの配信速度があり、月間メール配信数は42億通、導入実績は1,500社以上と信頼性の高いサービスです。
基本的な機能はすべて搭載されており、一斉配信はもちろん、ステップメールや分析、セグメント配信など、マーケティングを行ううえで使いやすいツールです。
会員データベースやECサイトとAPI連携も可能なため、トリガーメールも配信することができます。
おわりに
ここまでメールマーケティングのメリット・デメリットやポイント、ツールなどをご紹介してきましたが、マーケティングに活用できるイメージは湧きましたでしょうか。
実際にメールマーケティングを行うと多くの工数がかかってきますが、作業的になりすぎず、「何のために、誰のために、何の情報を届けるのか」を意識して業務を行っていくと良いでしょう。