SNSを活用してインバウンド(訪日外国人)マーケティングを行おう!
外国人観光客が多く訪れる日本は、2020年にオリンピックが開催されることでよりいっそう注目を集めています。これに際して訪日外国人の増加が見込まれていますが、より効果的な宣伝を行うべくインバウンドマーケティングに着目している企業が多くなっており、訪日外国人に対する効果的な訴求の方法が探られています。
今回は、多くの人にとって身近な存在となるSNSを活用したインバウンドマーケティングについての基礎知識や、実際にインバウンドマーケティングを行った活用事例を交えて見ていきましょう。
目次
訪日外国人によく使われているSNSとは
TwitterやFacebookなどのSNSは、利用が制限されている地域もありますが、ほとんどが世界中で国境関係なく利用できるものです。情報発信に利用されるほか、友人・知人とのコミュニケーションなど、幅広く利用されています。
そんなSNSですが、海外と日本でよく利用されているSNSには、違いがあります。
総務省の調べによりますと(※)、日本ではLINE(ライン)やTwitter(ツイッター)の利用者が多い一方、海外ではFacebook(フェイスブック)やInstagram(インスタグラム)の利用が多いという傾向があるようです。
海外ではFacebook、Instagram、Twitterの順で利用が多く、日本はLINE、Twitter、 Facebookの順となり、大きな違いがあることがわかります。
※参照:総務省|平成30年版 情報通信白書
SNSをインバウンドマーケティングで活用するメリット
インバウンドマーケティングにおいてSNSを利用するメリットはさまざまです。まずは、インバウンドマーケティングの基礎知識から紹介します。
インバウンドマーケティングとは
インバウンド(inbound)とは、外から中へ入るという意味です。従来のマーケティングといえば、企業が売りたい商品やサービスについてただただ情報を流したり、ダイレクトメールや電話といった手法を使ったりして、中から外へと訴求をするものが一般的なものでした。このような、中から外へのマーケティングをアウトバウンド(outbound)型のマーケティングと言います。それに対し、インバウンドマーケティングとは、実際にサービスを利用するユーザー(消費者)が自分自身で情報となる広告を選び、購入したりサービスを利用したりする手法を指します。
そしてもうひとつ、海外から日本にやってくるユーザーに対しても、インバウンドと言う言葉が使われることがあります。インバウンドマーケティングとは、外(外国)から中(国内)に向けて訪日する予定がある・興味があるユーザーに対してプロモーションを行うことを指します。
スマートフォンの普及とともに、SNSやネットの利用が拡大し、情報発信の手段は格段に増えました。そのような背景もあり、SNSがコミュニケーションツールとしてだけでなく企業のインバウンドマーケティングでも利用されるようになりました。
前述のとおり、2020年に日本で開催されるオリンピックを控え、訪日外国人向けのインバウンドマーケティングがより注目されるようになり、多くの企業がSNSというツールを活用したインバウンドマーケティングを展開しています。
集客の土台ができあがっている
一口にSNSと言っても、TwitterやInstagramなどさまざまな種類が存在しています。前述のとおり、日本と海外で利用されているSNSには違いがあるように、各国で利用比率が大きいSNSは異なっています。
そのため、訴求を行いたい国や地域・コミュニティによって、利用されているSNSを使い分けながらマーケティングを行うことで、スピーディーな集客や宣伝が可能となります。日本ではLINEが主な利用SNSとなっているため、LINE@(ラインアット)のような配信サービスを利用したり、海外ではTwitterやInstagramを駆使したマーケティングを展開したりという戦略が考えられます。
一から集客を行うのではなく、すでにユーザーが集まるプラットフォームであるSNSを利用することで、最短距離でマーケティングが可能になります。
データ・反応をとりやすい
SNSはユーザーが積極的に自分で情報を検索したり、コミュニティに参加したり、個々の好みに応じて使い分けがしやすいため、便利なプラットフォームとして利用されています。また、自身で情報発信するユーザーも多いことから商品やサービスに対する意見・レスポンスが手に入りやすく、改善に役立ったりそれをデータ化できたりとメリットが大きいと言えるでしょう。
身近な存在である
今や誰もがインターネットを使うことは当たり前と言っても過言ではありません。
実際に、情報を検索して精査し、購買という行動に移す過程がすべてインターネットで完結するようになりました。
中でもユーザーにとって身近なインターネットがSNSです。コミュニケーションツールとしてだけでなく、口コミ検索的にも使われるSNSは、老若男女問わずまだまだ利用が拡大しています。そんな身近な存在だからこそ、マーケティングにおいてSNSを利用すれば閲覧の頻度が上がり、周知・購買につながりやすくなるのです。
インバウンドマーケティングを行う上でなぜSNSが重要なのか
インバウンドマーケティングは、ユーザーが自ら情報を集めて購買などの行動に移す流れにおいて、いかに興味・関心を持ってもらい購買につなげるかがポイントです。この工程で最も重要なのが、ユーザーが商品やサービスを探すための入り口です。ユーザーは何を使って商品の情報を探ったり、サービスの詳細を調べたりするのでしょうか。
デバイスとしてはスマートフォン、パソコン、タブレットなどがあり、さらにこれらを使って検索を行う場合は、Google(グーグル)やYahoo!(ヤフー)などの検索エンジンのほか、SNSを利用する方法があります。このうち、最も手軽なのがスマホでのSNSの利用です。
さまざまなSNSがありますが、世界中で多くのユーザーが各SNSを利用し、時には複数のSNSを使い分けながら情報発信したり、情報を取得したりしています。
インターネットという大きな土台の中で特に利用されているのがSNS。だからこそ、SNSを利用したインバウンドマーケティングが大きく注目されているのです。
インバウンドマーケティングでSNSを活用する際の注意点
インバウンドマーケティングに欠かせない存在のSNSですが、注意点もいくつかあります。
ターゲットとの親和性
SNSは種類が多く、国や地域によって利用が限られているものがあったり、規模が小さくてもその地域では集中的に利用されているものがあったりします。利用されているSNSは地域差があるため、訴求内容・地域に合わせたSNSを利用しなければインバウンドマーケティングの効果が薄れると言えるでしょう。
失敗しないためにはまず訴求対象となるターゲットを明確にし、インバウンドマーケティングに利用すべきSNSを選定することです。
発信のタイミング、ニーズをリサーチ
日本には、四季があります。海外では四季がないところが多く、日本ならではの季節の移ろいを楽しみに訪日する外国人も少なくありません。そのため、季節に関連したタイムリーな話題やキャンペーンは、発信のタイミングに注意する必要があります。
特にSNSは旬の話題が広く拡散されることもある一方、次々に情報が埋もれていってしまう傾向にあるため、発信するタイミングによってコンバージョンが大きく変化すると言えるでしょう。
また、訪日外国人のニーズをリサーチすることも重要です。日本人は日本の魅力を多く知ってほしい、自然や建造物を見てほしい、全国各地のグルメを食べてほしいという思いがありますが、訪日外国人がそうした物を求めているかはわかりません。訪日外国人が本当に求めているものを知る必要があります。
たとえば、現地で放映されているアニメや販売されている漫画をきっかけに訪日するという方は、グルメはもちろんですが、メインはそこではありません。着物や日本の文化に興味があって訪日される方は、日本の古き良き街並みが残る観光地めぐりや着付け体験ができるアクティビティがメインになると考えられます。
さまざまなパターンが考えられますが、訪日外国人がどうして日本にやってくるのかという真の目的を想定し、対応速度の速いSNSを活用して情報をカバーしていくと良いでしょう。
日本と海外での認識の違い
日本では当たり前と思われることも海外では通用しないということが多々あります。食事・ファッション・日常生活・政治などさまざまなことについて認識の違いを持っています。海外ユーザーから見た日本は驚きや感動など多くの発見があり、当たり前のことでも認識が違うということ、そしてSNSの情報は良くも悪くも拡散されやすいことを知っておきましょう。
喜ばれるのは細やかさ
箸の持ち方、お金の使い方など、日本独自と言っても良い文化が多く存在しています。訪日外国人がいざ現地で何か行動をしようとしたときに困ってしまう場面が多く考えられるため、「こんなことまで?」と思うほどの細やかな情報発信が期待されます。
他言語・多言語に対応を
訪日外国人向けということは、少なくとも英語をはじめとした主要な言語の対応もしなくてはなりません。あまりにも多くの言語に対応するのはコストや手間がかかるため、英語をベースにし、ターゲットを絞って対応すると良いでしょう。
また、いくら魅力的なコンテンツが集約されていたとしても、それを正しく他の言語に翻訳できているかどうかがカギとなります。現地の人にとってより親しみやすく言語化されているか、商品やサービスの内容が正しく翻訳され、伝わっているかどうかでコンバージョンにも大きな影響があるでしょう。
インバウンドマーケティングでSNSを活用した事例
では、日本の企業がこれまでにSNSを活用して行ったインバウンドマーケティングの事例を見てみましょう。
animate International(アニメイト)
ツイッターアカウント(@animateInternat)
アニメや漫画に関連したグッズの販売を行っているのが、アニメイト。今やアニメ・漫画は日本の文化として海外でも広く親しまれていますが、好きなアニメのキャラクターグッズを購入するために訪日する外国人も少なくありません。
そこでアニメイトが外国人向けに展開したのが、animate International。英語でグッズのリリース情報を告知したり、誘導する公式サイトを英語に対応させたりと、日本国内外に向けたマーケティングを行っています。ツイッターアカウントのフォロワーはやはり外国人が多く、日本のアニメ・漫画に興味を持っていることがわかります。
BREAKER
ツイッターアカウント(@brkrjp)
日本最大の外国人ユーチューバー事務所であるBREAKER(ブレイカー)。 日本への留学経験をもつ外国人やハーフ、小さい頃から日本の文化に興味・関心があったなど、日本と縁のある人気ユーチューバーが所属しています。
海外に向けたPRはもちろん、YouTubeやTwitter、InstagramなどのSNSを利用したマーケティングなど、幅広い事業を行っています。
日本に興味をもつ訪日外国人へはもちろんのこと、日本人向けのコンテンツも多く、語学講座や海外の情報を発信するなど、雑誌では得られない情報共有が行われていることで注目。
いわゆるインフルエンサーと呼ばれる影響力の高いユーチューバーが多く所属することもあり、SNSを利用したインバウンドマーケティングの中でも頭角を現しています。
JNTO(Japan National Tourism Organisation)
インスタグラムアカウント(@visitjapanjp)
JNTOは、日本政府観光局が運営している訪日外国人向けの日本紹介サイトです。公式サイトは20以上の言語に対応しており、日本への観光・旅行を検討している外国人にとって必要な情報が手に入ると広く重宝されています。
外国人旅行者の誘致を積極的に行っていることからもうかがえるようにユーザビリティが高く、さまざまな目的から日本への具体的な観光内容を検討できます。
- 場所(目的地)
- やりたいこと(アクティビティ)
- 日本へのアクセス方法
もちろん、JNTO公式サイトから直接ホテルの予約ができたり、交通情報を随時チェックすることができたりと、便利なコンテンツが凝縮されているため、日本各地の観光情報を網羅した貴重なサイトと言えるでしょう。
まとめ
このように、訪日外国人向けのインバウンドマーケティングにおいて、SNSを活用することが一般的になってきました。国境を越えて多くのユーザーが利用できるSNSは、個人のコミュニケーションツールとして利用することはもちろんですが、今では企業アカウントや有名人ともコミュニケーションを図ることができるようになり、様々な超えることのできる存在としても重宝されています。
複数のアカウントを持つことができることから、日本用のアカウント・海外用の英語アカウントを持つことも可能ですし、自動翻訳の機能もあるため訪日外国人に向けた情報発信も容易です。身近な存在であるSNSをうまく活用した効率的なインバウンドマーケティングは、今後もさらに活発化するでしょう。