Googleだけじゃない!Adobe Analyticsについて解説します
「サイトでアクセス解析をしてさらに利益を上げていこう!」 あなたのブログやサイトを成長させていく上でも、アクセス解析ツールは最も必要ですよね。では何を使いますか?「それはもうGoogleアナリティクス一択でしょ!」あなたはこんな風に視野が狭まっていませんか?
現在は多種多様なアクセス解析ツールが流通しています。 その中でも注目されているのは、Adobeのアクセス解析ツール「Adobe Analytics」。Google アナリティクスの機能をも圧倒すると噂のツールですが果たしてどうなのでしょう。一般ではあまり認知されていないこのツールですが、あなたのビジネスを今の何倍にも加速させるかもしれません。今回は、Adobe Analyticsについて解説していきます。記事内ではGoogle アナリティクスとの比較も交えています。
目次
Adobe Analyticsとは
「Adobe Analytics」とは、『Illustrator』や『Photoshop』で有名なAdobeが提供する、アクセス解析ツールです。
例えばあなたのサイトにどこの国のどんなユーザーがどこを経由してたどり着いたのか。さらには、その後どういった動きをしているのかを知ることができます。サイトのPV数などのトラフィックから、ユーザーが商品購入するまでの行動を分析することができその後の改善に役立てることができます。
仕様
Adobe AnalyticsはWebビーコン型と言われるもので、対象のJavaScriptのコードを導入することで分析が可能になります。さまざまなデバイス、情報元に導入することができそれらを統合した分析を行うことができます。
カスタマイズ性がよい
Adobe Analyticsはカスタマイズ性に優れており、より専門的で的確な分析をすることができます。Googleアナリティクスよりも汎用性が高く。多角的な分析が可能です。Google アナリティクスでできることは基本的にAdobe Analyticsでもできます。
世界トップの分析能力が評価されている
アメリカの調査会社Forresterは、Adobeを分析市場の「リーダー」と評価しています。アクション、ユーザビリティ、他にもさまざまな項目で最高のスコアを記録しました。(※)
日本のトップ企業も導入しているツール
Adobe Analyticsは国内のトップ企業も導入しています。それらは膨大な情報量があり、高度な分析を必要としている企業ばかりです。
Adobe Analyticsを導入している主な企業
- ヤフージャパン
- 株式会社TUTAYA
- 株式会社Finatext
- ソニー銀行
※参考:顧客分析ソリューション分野に関する「The Forrester Wave」で、アドビがリーダーに選ばれる
Adobe Analyticsの機能
Adobe Analyticsにはここでは語りつくせないほどの豊富な機能が搭載されていますが、ここでは注目すべき6つの機能をまとめました。
予測分析機能
機械学習が可能となったAdobe Analyticsでは、大量のデータ比較、対照し、コンバージョンの予測分析を行います。例えば、顧客がどの時点で購入や、申し込み(コンバージョン)に至るか、未来のデータを分析します。専門性がない個人や企業の担当者であれど、こうした高次元な分析ができてしまうのです。
ワークスペース
ワークスペース機能は、ディメンションや指標の一覧からドラッグ&ドロップの簡単操作で、分析環境を自分好みにカスタマイズすることができます。それこそディメンションや指標の意味を理解する必要が出てきますが、直感的な操作が可能なので実際にいろいろと試してみると理解も深まりやすいでしょう。比較的新しい機能ではありますが、人気度が高く注目されている機能です。
セグメント
セグメント機能は、データを絞り込むことができる機能です。この機能があるおかげで、ヒット単位の詳細な情報までたどり着くことができます。Googleアナリティクスでもセグメントを行うことはできますが、制約があったりと、ユーザーによっては不便さを感じるかもしれません。
マルチチャネルデータ
Adobe Analyticsでは様々な情報元からデータを回収することができます。Adobe Analyticsで収集できるソースは以下です。
- Webサイト
- 電子メール
- キャンペーン
- Webベースのキオスク
- モバイルデバイス
- クライアントサーバーアプリケーション
- インターネットにアクセスできるほとんどのアプリケーション
これらの多用な情報元からデータを統合、解析し、高度なカスタマージャーニー分析に役立てることができます。
カスタム変数機能
Adobe Analyticsの特徴的な機能としてカスタム変数機能があげられます。Googleアナリティクスにもカスタム変数の機能はありますが上限が設けられていたり制約が一部あります。汎用性の高さなどからAdobe Analyticsのカスタム変数機能の方が高機能と言えます。Adobe AnalyticsではeVar, prop, eventsの変数をあつかうことができます。
eVar
Webサイト内のどのディメンションがコンバージョンに影響しているのかを確かめることができます。これらの変数は永続的に作用し、Adobe Analyticsの独自の基準により集計項目をさらに詳細に操作することができます。
prop
変数propはページビュー数や訪問数、実訪問者数、滞在時間など、様々なディメンションの人気度を把握することができます。
events
変数eventsはサイト上の多くの指標のデータを収集します。
インテリジェントアラート
インテリジェントアラートは、データの異常値を検出しアラートを送信する機能です。現実的に365日24時間データを監視し続けるのは不可能です。Adobe Analyticsが常に監視を続け、トラフィックが特定の値に達するとアラートが送信されます。他にも、通常と異なるようなトラフィックを検出した際もアラートが送信されます。これらの設定は細かく指定することができます。
Adobe AnalyticsとGoogleアナリティクスとの違い
さて、Adobe AnalyticsはGoogleアナリティクスとどのような違いがあるのでしょう。この二つ以外にもアクセス解析の手立ては数多く存在しますが、主要の二つを比べてみたいと思います。あなたのビジネスに合った解析ツールはどちらのサービスでしょうか。
価格
Googleアナリティクスは無料であるのに対し、Adobe Analyticsは有料です。従量課金制が採用されていて、PVやトラッキングの量などで料金が決定します。ちなみに、Googleアナリティクスが無料というのも実は上限があり、毎月のヒット数が1,000万を超える場合は「Googleアナリティクス360」を利用します。こちらは有料になってしまうので注意が必要です。
Googleアナリティクス360について
Googleアナリティクス360とは、Googleアナリティクスの有償版のツールになり、様々な機能を備えています。こちらも費用を知るには問い合わせをする必要がありますが、Googleアナリティクス360の価格は月間10億ヒットまで月額130万円になります。
導入の難易度
導入までのスピードや、導入のしやすさはGoogleアナリティクスが強いでしょう。というのも、Adobe AnalyticsはAdobeやAdobe代理店にサポートを受ける必要があるのです。これにより、企業やWebサイトごとに最適な分析環境が与えられ、さらに高度な分析を行うことができるのですが、導入までにラグが生じてしまいます。利点でもありますが、これが壁となり「Googleアナリティクスでいいや」と考える方も多いのです。
セグメントの詳細度
上述しました通り、Googleアナリティクスでもセグメントをすることは可能です。Googleアナリティクスでは、初心でも簡単にセグメントを行う機能が実装されていますが、セグメントの最小単位。いわゆる「ヒット」単位でのセグメントは苦手です。
その点Adobe Analyticsはヒット単位でセグメントを行うことに長けています。「直近1週間以内に訪問し、その間に再訪問をしたのち申し込みをしたユーザーが閲覧していたページ」など、分析したい内容の詳細を設定できます。ただ、Googleアナリティクスより設定難易度が上がるのも確かです。
Adobe Analyticsの費用
Adobe Analyticsの費用は上述した通り、従量課金制となっています。(Adobeに問い合わせて確認する必要があります。)
そこにベースとなる3つのプランが提供されていますのでご紹介します。
Adobe Analytics Select
オフラインデータの統合が3つまで。Adobe Analyticsの基本的な機能を備えています。
Adobe Analytics Prime
- オフラインデータの統合が15個まで
- 貢献度の分析を10トークンまで
- 予期せぬトレンドを自動的に検出する
- 高度なセグメンテーション
Adobe Analytics Selectの上位プランになります。
Adobe Analytics Ultimate
- オフラインデータの統合が200個まで
- 貢献度の分析は20トークン
Adobe Analytics Primeの上位プランになります。
Adobe Analyticsって結局使えるツールなの?
実際問題、Adobe Analyticsはお金をかけてまで導入する必要があるのでしょうか?無料のGoogleアナリティクスを利用しているだけではだめなのでしょうか?これについては、あなたが分析したい内容、ビジネスのモデルから特定することができます。Adobe AnalyticsがGoogleアナリティクスをも圧倒する高機能なアクセス解析ツールなのは間違いありません。ですが不必要な機能ばかりが搭載されていては逆に効率を落とします。あなたの状況にあったツールを選ぶことが重要なのです。
基本的な分析だけをしたい場合
PV数やページの平均滞在時間。直帰率や流入の経路などの基本的な分析が必要な方はGoogleアナリティクスを導入しましょう。ブログサイトや、企業サイトのコラムなどを運営している場合、Googleアナリティクスからの分析で十分な情報が取得できます。Googleアドセンスとの連携も可能なので収益管理や、広告改善などもしやすいでしょう。
アクセス解析を個人で行いたい場合
個人でサイトを運営している場合、アクセス解析も自分で担当するのでしょう。その場合はGoogleアナリティクスをおすすめします。導入までのスピードが速く、1時間もかからずにあなたのサイトに分析環境を作ることができます。しかも、大半のユーザーはGoogleアナリティクスを利用しているので、何かトラブルがあった時それを解決する方法がWeb上に山のように転がっています。現在はYoutubeでも関連動画が多くアップされているので、困ることはないでしょう。
高度なセグメントを利用してユーザーの動きを細かくとらえたい
もし今よりも成約率を高めたい場合、購入者が商品を知り購入までに至る動きを細かく分析する必要があります。こうしたカスタマージャーにを捉えるにはAdobe Analyticsがおすすめです。Adobe Analyticsのセグメントを利用すれば、顧客になりうるユーザーのこと細かい動きを、入り口から出口まで明確に追跡することができます。そうした行動分析からPDCAを回していくことに特化しているツールなのです。
商品数の膨大なECサイトの場合(Yahoo株式会社の例)
大規模なECサイトにもなると、そのユーザーデータは膨大なものになります。それらすべてを分析し、サイト改善に役立てていくには相当な時間と労力を伴います。Adobe Analyticsを利用すればこの問題を解決することができます。ここでYahoo株式会社「Yahooショッピング」の成功例を上げていきます。
YahooショッピングのAdobe Analytics導入
上記の通り、Yahooでも従来の分析方法では膨大な時間と労力がかかっていました。そこでAdobe Analyticsを導入した結果、分析の時間は大幅に削られ、そのうえ新規会員の獲得、売上の拡大を達成しましした。
ここで改善されたことは
- ユーザー自身がリアルタイム分析を行えるようになった
- 顧客行動が可視化され、今まで以上に詳細なセグメントが可能になった
- さらに分析結果をアクションに反映しやすくなった
- データ分析にかかる時間と労力が大幅に軽減された
という4点です。Adobe Analyticsのセグメントの精度と、AI・機械学習によるサポートレベルの高さが見て取れます。
まとめ
今回紹介したAdobe Analyticsは正直ブロガー向きなツールではありません。もっとも、自社サービスを展開する企業レベルなら最高のパフォーマンスを発揮することができます。(決して必ずしもではありません。アフィリエイトの面でも本格的な分析をしたい方には理想的なツールです。)
誤解を恐れずに言うのであれば、Googleアナリティクスの上位互換と言えるレベルです。基本、GoogleアナリティクスでできることはAdobe Analyticsでできるのです。Adobe Analyticsはサポートが充実しているとはいえ、Google アナリティクスほど解説の記事が転がっていません。その為人によっては使いにくく感じるかもしれません。記事最後では、Yahoo株式会社の導入例を紹介しました。他にも有名どころで言えばTUTAYAのAdobe Analytics導入も有名ですね。
Adobe Analyticsの一番の魅力を上げるのならばセグメントの精度です。「ユーザーがどういうところから、どういう道筋を通って、どんな道草をして、今の商品購入に至るのか。」こうしたセグメント分析から、購入までの傾向を探り改善する、と言った使い方をするには最適なツールです。AIや機械学習機能のサポートがさらに高速なPDCAサイクルを実現するでしょう。状況に応じて適切なツールを取り入れることが大切です。導入の検討の際には、今回の記事を参考にしてはいかがでしょうか。