リッチスニペットとは?種類やメリット、設定方法について
スマートフォンやパソコンで検索すると、サイトのタイトルの下に簡単な説明文を見ることができます。この短い文章は、スニペットと呼ばれるもので、検索者にサイトを閲覧してもらうためにとても重要な役割を持っています。
Googleのアップデートにより、表示される文字数は時期ごとにバラツキがありましたが、最近、画像や特殊なフォーマットが用いられているものを目にすることがあります。
検索結果の中で、目を引きやすいということは、検索順位と同じくらいサイトの訪問率に影響します。
今回は、より検索者に情報を伝えやすい検索結果リッチスニペットが表示できる仕組みについて説明します。
リッチスニペットとは?
スニペットとは
スニペットは、検索エンジンで検索したWebサイトのタイトルの下に表示されるテキストのことを指します。スニペットは、特に用意しなくてもGoogleの方で検索結果に近い内容のものを、本文から切り抜き表示される仕組みになっています。
リッチスニペットとは
リッチスニペットとは、通常のスニペットに加え、画像や店舗情報など、特定のデータが表示されている状態のものを指します。
検索者は、スニペットを参考にして見たいサイトを選ぶこともあるため、情報が多ければ多いほどクリック率に大きく影響を与える可能性があるのです。
SEOとスニペットの関係性
SEO対策とCTR(クリック率)
多くの人にサイトを見てもらうには、検索結果の上位に表示されることが重要です。検索順位を上げることをSEO対策といいますが、それだけでは十分とはいえません。
もちろん、検索上位に表示されることは、どんなに優れたスニペットを書くことよりも高い効果があります。検索1番目に表示された記事と、優れたスニペットが書かれた検索5ページ目に表示された記事ではCTR(クリック率)に大きな差が出てくるでしょう。
CTRとリッチスニペット
ページ数をまたぐような検索結果の場合は問題ではありませんが、検索結果が近い場合であるほどスニペットの重要性は増してきます。
検索者は多くの場合、ある疑問を解決したいという目的のために検索しています。スニペットを読んで自分の求める答えがありそうだと考えれば、当然CTRは高くなります。
リッチスニペットの場合、単に文字列だけがならぶ検索結果の中に画像などが表示されるため、検索者の目を引きやすく、文章以上にCTRに影響を及ぼすと考えられます。
リッチスニペットの種類
リッチスニペットとして表示できるデータは、続々と増えています。以前は、連絡先などのシンプルなものだけだったのですが、最近では、動画のサムネイルやレシピ画像など、視覚的に高い効果を持つものも導入されています。
現在、Googleの検索結果に表示されているリッチスニペットには、以下のようなものがあります。
イベント関連
花火大会やコンサートといったイベントの紹介サイトの場合、開催時期や開催場所、イベント名などが表示できます。
レビュー関連
通販サイトやグルメサイトなどでよく見かけるリッチスニペットで、星や点数などの評価や金額、レビュー数などが表示されます。
ネット通販やグルメサイトを利用する人の多くは、実際に購入した人のレビューを参考にしています。検索結果から商品の評価がひと目でわかるということは、それだけ検索者にとって利便性が高いということです。
グルメ関連
飲食店の紹介サイトやレシピサイトなどで多く見られます。料理のサムネイル画像や材料、カロリー、調理時間などが表示されます。
料理のできあがり画像などは、テキストの何倍も情報が伝わりやすいことから、それだけ検索者にとって有意義な情報がたくさん提供できるわけです。
会社概要・店舗情報
企業の概要や関連事業、店舗などの情報の一覧が掲載されます。それぞれにリンクが貼られていて、検索者はさらに目的に近い情報を得ることができます。
動画関連
YouTubeなどの動画のサムネイルを表示します。サムネイル内には再生時間が表示されるほか、テキストの中に公開日やアップロード元も表示されます。
YouTubeに関しては、特に設定することなくこれらに情報が表示されます。
検索窓
通常のスニペットの下に、サイト内検索ができる検索窓を設置します。比較サイトは、特定の商品について調べることが多いですから、検索結果から、直接調べたいページにアクセスできるのはユーザーにとっても利便性が高いです。
パンくずリスト
ページURLの表示部分に、パンくずリストを表示させることができます。
リッチスニペットのメリット
CTRの上昇
たとえば、特定の食材を使ったレシピを検索する時、言葉だけで説明されるよりもできあがった料理の画像があった方がよりわかりやすいはずです。
「この画像の料理を作ってみたい」と思ってもらうことで、よりサイトを閲覧してもらう可能性が上がるわけです。
検索順位の上昇
Googleは、クローラーと呼ばれるプログラムによってサイトを巡回し、情報を集め独自のアルゴリズムによって検索順位を決定しています。
リッチスニペットを表示するには、クローラーに正しい情報を伝える必要があります。そのためには、サイトの構造を最適化することが必要になり、結果検索順位が上がることも期待できるのです。
ただし、Googleのジョン・ミューラー氏などは、完成されたサイトにリッチスニペットを導入しても検索順位に影響を与えることはないとも発言していて、SEO対策としては賛否両論あることも事実です。しかし、サイト構造の最適化と、リッチスニペットにより流入数やCTRが改善されることで、SEO対策につながっていきます。
リッチスニペットの設定方法
Googleのクローラーに、サイト内の情報からリッチスニペットに表示してもらいたい部分を正しく伝える必要があります。
具体的には、クローラーが認識できるHTMLを書き換えるのですが、これを「構造化をマークアップする」といいます。
マークアップするためには、まず表示させたい情報(ボキャブラリー)と、その情報をクローラーに伝えるための書き方(シンタックス)が必要です。
ボキャブラリーの抽出
たとえば、あるコンサートの情報サイトをリッチスニペットで表示させたい場合、ボキャブラリーは以下のようなものが上げられます。
- 会場
- 出演者
- 開催日・時間
- 料金
同様に、レビューサイトであれば、
- 評価点
- 星マーク
- レビュー件数
などが考えられます。
ボキャブラリーの規格にはGoogle、Microsoft、Yahoo!の統一規格であるschema.orgを使います。
シンタックスの種類
次に、それぞれのボキャブラリーが何を意味しているのかをクローラーに伝えなければいけません。
たとえば、料理サイトで完成品のサムネイルをリッチスニペットに設定しようとした場合、その画像がサイト内のどの料理のことを指しているのか、それぞれのデータの構造を正しく伝える必要があるのです。
この時に使用する文法のようなものがシンタックスと呼ばれるものです。
Googleからサポートされているシンタックスには、
- JSON-LD
- RDFa
- Microdata
がありますが、一般的にはJSON-LDが利用されることが多いようです。理由は、JSON-LDがGoogleでもっとも推奨されているスニペットだからです。
記述については「構造化データの仕組みについて| Google Developers」を参考にしてみてください。
データハイライターを使用する
HTMLに対してあまり詳しくないという人でも、リッチスニペットは利用できます。その場合、Googleが提供しているサーチコンソールを使用します。サーチコンソールとは、昔のウェブマスターツールのことで、サイトのCTRや掲載順位といった検索エンジンのパフォーマンスに関わる情報を見ることができる、Googleの無料の診断ツールです。
サイドバーのカテゴリーの中にある「検索での見え方」をクリックします。表示された一覧の中からデータハイライターを選びます。「ハイライト表示を開始」を選べば作業を開始できます。
リッチスニペットが表示される条件
構造化のマークアップを適切に行ったからと行って、サイトに100%リッチスニペットが表示されるわけではありません。リッチスニペットが表示されるには、いくつかの条件があるのです。
代表的なものには以下の3つがあります。
- 記事の内容が検索クエリとの関連性が高い
- 構造化が正しく行われている
- リッチスニペットのガイドラインに沿った内容になっている
リッチスニペットを表示させたいサイトが、上記の点をクリアしていない場合、リッチスニペットは表示されない可能性が高くなるのです。
記事の内容が検索クエリとの関連性が高い
サイトの内容とクエリの関連性は、検索順位にも大きく影響します。
まずは、Googleアナリティクスやサーチコンソールなどでも、よく目にするクエリについて説明しておきます。
クエリとは?
クエリというのは、英語でqueryと表記します。日本語になおすと「問い合わせる」とか「たずねる」といった意味です。コンピューターの世界では、データベースにアクセスして、中に含まれているデータの変更や抽出、削除といった作業をするための問い合わせがクエリに該当するわけです。
サイトにおけるクエリというのは、簡単にいえば検索したいキーワードのことで、一般のクエリとわけるために検索クエリなどとも呼ばれます。簡単にいえば、データベースの部分が検索エンジンに置き換わったわけで、データの変更などのクエリが、検索ワードに沿ったサイトを表示するといったクエリになっているのです。
検索者が特定のキーワードについて調べたいと考え、検索エンジンを使用します。Googleは入力されたキーワードに対し、もっとも関連性の高いサイトを返そうとするわけです。
そこで、リッチスニペットに指定された情報と、サイトの内容の関連性がうすい場合、Googleはこのサイトにはリッチスニペットで表示するべき情報がないと判断してしまうのです。
そのため、リッチスニペットを導入したいサイトの内容をよく考え、どういった情報を表示したいかをよく考える必要があります。
構造化データが正しく設定されている
HTMLを書き換えて構造化をマークアップした場合、単純な文法のミスなどがあっただけで正しく認識されません。
また、Googleが推奨している3つのシンタックスであるmicrodata、RDFa、JSON-LDには、WordPressのテーマとの相性や、表示できるリッチスニペットに違いがあります。
たとえば、Googleがもっとも推奨しているJSON-LDであっても、一部のリッチスニペットに対応していない記述があり、その場合は、ほかのシンタックスを使う必要があるのです。
リッチスニペットのポリシーに違反していない
2012年11月2日にGoogleからリッチスニペットに関するガイドラインが発表されています。
スニペットに表示される内容が検索者の誤解を招く、あるいはスパム的内容を持ち検索者の利益を損ねる可能性がある場合など、スニペットが表示されない、またはいったん表示されたものが削除されるといったケースがあります。
うっかり触れてしまうガイドラインのポリシー違反には以下のようなものがあります。
イベント情報
特定の地域で開催されるイベントを紹介しているサイトにおいて、他の地域や地方で開催される情報をリッチスニペットに指定している。
レビューサイト
通販サイトや比較サイトで購入者の評価情報をリッチスニペットに指定する場合、あくまでクエリで返された商品に対する評価である必要があります。
ジャンル全体や通販サイトに対するレビューや評価が含まれている場合、ガイドラインに抵触するおそれがあるのです。
また、サイトの品質にも関連することですが、ページ内で用いられているレビューが実際に商品を購入していない、あるいは使用していない人物による創作レビューだった場合は、スパムに該当するとみなされてしまいます。
この場合もリッチスニペットは表示されません。
おわりに
リッチスニペットとは、サイト内の特定の情報やサムネイル画像を表示することで、通常のスニペットよりも多くの情報を検索者に与えることが可能です。そのため、通常のスニペットが付いたサイトよりも選ばれやすくなり、CTRの向上が期待できます。
リッチスニペットを表示するには、ガイドラインに沿った適切なマークアップが必要ですが、そのことはGoogleのポリシーを理解し、サイトの質を向上させることにもつながります。
良質なサイトはGoogleからの評価も上がり、結果的に検索順位の上昇も期待できるのです。