オウンドメディアリクルーティング成功の秘訣とは
求人サイトに情報をアップロードするだけ。従来とっていたこの方法では、会社が求める人材の獲得は愚か、求職者の母数を満足に集めることも難しくなってきました。
そんな時代の採用事情に大きな変革をもたらしたのがオウンドメディアリクルーティングです。この記事でオウンドメディアリクルーティング の実態を知り、実際にあなたの会社に取り入れてみませんか?
目次
オウンドメディアリクルーティングとは
オウンドメディアリクルーティングとは、自社メディアから人材発掘を行う手法です。自社が発信する内容を閲覧し、そこに共感した、いわば共鳴度の高い人材にアプローチすることができます。
企業主体で人材発掘を行うことができるこの手法は、以下の3点により現実的な物になりました。
- ソーシャルメディアが世間一般的になったこと
- 若年層のスマートフォン普及率の高まり
- 情報量の膨大な増加
これからの時代、会社との価値観が合致し、許容できる又は満足できるスキルを持った人材に出会うためには、受け身ではない、攻めのリクルート手法が求められるのです。
オウンドメディアリクルーティングが注目されるわけ
日本において従来の採用形態は、求人サイトからの求職者に応募してもらうスタイルが主流でした。企業側は求人を出して応募者が来るのを待つだけ。しかしこれでは、お互いに、求める人材、企業と出会うのが非常に困難です。
求人メディアが増えに増え、求人情報も膨大に流れていく昨今。そんな中、その流れに影響されないリクルート手法である、自社メディア主体のオウンドメディアリクルーティングが注目されるようになったのです。
オウンドメディアリクルーティングを行うことで、求職者との適合率を上げ、より自社の魅力を伝えきることができ、さらには会社の認知度にも貢献し、今以上の人数、質の求職者と出会うことが期待できます。
オウンドメディアリクルーティングを成功させるポイント
オウンドメディアリクルーティングを成功に導くには、まずジョブディスクリプションとシェアードバリューの理解と充実が必用になります。そしてその後、Google検索上で上位表示を狙う為にSEO対策を施していく必要があります。
順番に解説していきます。
ジョブディスクリプションの充実
ジョブディスクリプションとは、職務記述書のことを言い、これを充実させることは多くの求職者との出会いを実現します。ジョブディスクリプションでは、単なる募集要項とは違いより詳細な情報が求められます。
例えば以下のようなもの
- 職務目的
- 事業・プロジェクトの目標
- 求められる責任
- 社内や社外の関係性
- 必用とされる資格、経験、技術、学歴 etc.
ここ最近で、ユーザーの検索リテラシーが飛躍的に高くなっています。その高度な検索にヒットする為には、豊富で的確な情報量が必要になります。同時に求職者とのミスマッチもなくなる為、より求める人材と高確率で出会うことができるのです。
シェアードバリューの充実
シェアードバリューとは、会社の社会的価値や魅力を伝える事です。
多数の求職者と接触するための『ジョブディスクリプション』。そこから、さらに選ばれる企業になる為の『シェアードバリュー』。この両方が満足行くレベルまで高められていることが、オウンドメディアリクルーティング成功のポイントです。
シェアードバリューの解説に戻りましょう。シェアードバリューには、カルチャーコンテンツとパーパスコンテンツの2つがあります。
カルチャーコンテンツ
カルチャーコンテンツは、オフィスの紹介や社内の制度。時に社員へのインタビューを交えながら企業の価値観表現します。カルチャーという名の通り、企業の文化的な面を伝えるコンテンツです。
パーパスコンテンツ
パーパスコンテンツは、企業理念や社会での自社の存在価値を示します。目に見えない『やりがい』の部分を伝えるのがパーパスコンテンツであり、カルチャーコンテンツト組み合わせることで、より高い理解を生む事ができ、共感度の高い求職者とマッチングすることができるのです。
SEO対策
オウンドメディアリクルーティングの導線は、求職サイトからのリンクだけにはとどまりません。Google検索上で上位に表示されることで、膨大なユーザーからの閲覧が期待できます。オウンドメディアでの持続的な情報発信ももちろんですが、これにはSEO対策が必用不可欠です。
SEO対策は、Google検索上で上位表示を狙う為の施策です。言い返せば、SEOという概念が存在する時点で、SEOを施さないオウンドメディアはGoogle検索内で上位表示を狙うことは難しいと言えます。
とはいえ、今回のオウンドメディアリクルーティングの内容はこの部分にはふれず、求職サイト導線のもので考えていきます。
オウンドメディアリクルーティングのやり方
ここまででオウンドメディアリクルーティングにどんな要素が必用であるかを理解することができました。とはいえ、この情報量では実際に何からどう着手していいかわかりません。ここからはオウンドメディアリクルーティングのやり方を紹介していきます。
オウンドメディアリクルーティング開始までの流れは以下の通りです。
- 事前調査・洗い出し
- ジョブディスクリプション・シェアードバリューの作成
- オウンドメディアの開設
- コンテンツの作成(具体案を紹介)
1.事前調査・洗い出し
まず初めに、自分の会社自体を知る必要があります。例えば自社の魅力や、働いている人・関わりがある人の心情。チームごとに抱えている問題・課題など。その上で、欲しい人材、採用するターゲットを明確に決めます。これは、自社で実際に働いている人が答えになりやすいでしょう。「どんな能力や思考が必要なのか、学歴や経験」は、会社を支える従業員を知りつくせば、そのすべてが見えてくるでしょう。
できるだけ多くの情報を洗い出していき、最後に『自社の魅力』を確立させます。
ここまでの調査・洗い出しを行い、明確にイメージできたターゲットは何を求めているでしょう。何を魅力と感じるのでしょう。考えうる魅力をすべて吐き出し、統合し、求職者の求める魅力を決定します。
2. ジョブディスクリプション・シェアードバリューの作成
前の行程で洗いだした情報をもとに、ジョブディスクリプションとシェアドバリューを作成しましょう。
前章でも解説している事ではありますが、ジョブディスクリプションは多くの求職者に出会い、シェアドバリューはそこから実際の応募へとつなげるとても重要な項目です。ここが充実していない、また事前調査が足らず見当違いなものであれば、求める人材と出会うことは愚か、会社・求職者共にミスマッチを実感することとなります。妥協せずに、確実な物を作り上げていきましょう。
3. オウンドメディアの開設
実際にコンテンツをアップロードしていくメディアを作り上げていきます。採用サイトやブログ、SNSがそれに該当します。SNSならインスタグラムやFacebook、Twitterなどが考えられます。ブログであれば、wordpressなどで立ち上げていくのが一般的です。
とはいえ、ブログも採用サイトも、自社にエンジニアを抱えている場合はいいですが、そうでないのなら敷居が高いように感じてしまうでしょう。そのような場合、外注で作成してもらうのがこれまで一般的でしたが、最近では簡単に採用サイトを立ち上げることができるツールなども展開されており、エンジニアが不在の企業でもサイトを立ち上げることが容易になりました。
例えば、エン・ジャパンの提供する『engage』などがこれに当たります。無料であるうえに豊富なテンプレートがあり、簡単にクオリティの高い採用サイトを作成することができます。engageで作られた求人情報は自動でindeedやFacebook、求人ボックスなど様々な求人サービスに掲載されるようになっています。
4. コンテンツの作成
最後に、オウンドメディアリクルーティングの肝となるコンテンツの作成を行っていきます。実際にメディアにコンテンツを入稿していく作業ですが、どんなコンテンツを掲載すればいいかがわからないですよね。
オウンドメディアでは、事業内容や募集要項の他に以下のコンテンツがよく求められています。
- 社風・職場環境
- 企業の精神・考え
- 社員紹介・社員メッセージ
社風・職場環境
社風や、職場環境に関するコンテンツは職場のカルチャー的要素を伝えることができます。オフィスの様子や福利厚生。他の会社にないような変わった社風などは魅力的な付加価値になりえます。
事業内容・募集要項の次に多くみられているポイントですので、積極的に発信する価値はあるのではないでしょうか。デザイン性のあるオフィスの様子をページに盛り込んでいるケースなどがよくあります。
企業の精神・考え
最も分かりやすいものでは、社長のメッセージ。企業の方向性や、目指す姿を提示しておくことはシェアードバリューの説明の通り重要であることがわかります。自社の活動が社会にどういった影響を与えていくのか。そういったストーリー性、考え方は求職者が「やりがい」を感じる大きなきっかけです。それは共感を呼び、募集へと足を運ばせます。
社員紹介・社員メッセージ
複数の社員へのインタビューや、紹介などは、カルチャーコンテンツとしてとても効果的です。求職者が魅力を感じる要因の一つである『人・風土』を伝えることができるのです。
オウンドメディアリクルーティングの成功事例
オウンドメディアリクルーティングをすすめていくビジョンがある程度見えてきたかと思います。ここで、本当にオウンドメディアリクルーティングに時間とお金を注ぐ価値があるのか、実際にオウンドメディアリクルーティングを実践し、成功した企業の事例を見ていきましょう。
株式会社アダストリア
アパレル会社であるアダストリアはSNSを活用したオウンドメディアリクルーティングを行っています。
インスタグラムで『adastria_recruit』というアカウントから『採用』に特化した発信を行っています。写真のみならず、ストーリーや動画など効果的に活用し、社員紹介やイベントの雰囲気などのカルチャーや企業理念などが伝播しています。
インスタライブでは、実際に多くの学生からの反響を受けており、現場で活躍するインフルエンサーを起用し雰囲気を伝えたり、内定者のエントリーシート解説なども行っていました。
株式会社gumi
モバイルオンラインゲームの開発・運営からスタートしたgumi。
オウンドメディア『ぱんぐみ』では、社員インタビューにとどまらず様々な企画を発信しています。ドキュメンタリー要素のあるものや、自社のニュース的記事。エンターテインメント性豊富なバラエティ記事など。企画の中には、社長の頭にタワシような奇抜な記事もありました。そして、それらが一つとなり株式会社gumiのカルチャー像を形成しています。
記事数も運営期間もまだ大きくはないため、圧倒的な認知を生んでいるわけではありませんが、実際に入社時のアンケートでは、一定数がぱんぐみを認知していることがわかりました。現時点でも少なからず、オウンドメディアの存在が求職者とのマッチングを後押ししているのではないでしょうか。
株式会社ニトリホールディングス
家具から家電までの製造、物流、販売を行うニトリホールディングス。
2018年に立ち上げた採用情報サイトの他、2020年に採用情報に特化したオウンドディア『ニトリン』を新たに立ち上げました。オウンドメディアのような動的なサイトは、求職者の母数を上げることができると考えており、徐々に記事数を増やしています。
カルチャー、キャリア、社員教育、ものづくりが主要のカテゴリーで形成されており、ニトリのカルチャーをイメージするには十分な内容でした。
結果的に応募層に大きな変化をもたらしました。従来よりも、ニトリが見据える未来に共感をしめす求職者が集うようになったのです。ニトリと併願している人の併願先といえば、流通業ばかりでしたが、採用情報発信を強化していった結果、今ではさまざまな分野に興味を示す人材がニトリに集中するようになっています。
まとめ
今ではオウンドメディアのあり方は決して、人材獲得の為だけではありません。今回紹介した企業のほとんどで、オウンドメディアを自社社員も閲覧しているのです。求める人材を発掘すると同時に、今働いている人に対する自社の明確な認識を促すことができるのです。
一見難しそうに見えるオウンドメディアリクルーティングですが、やるべきことは自社の魅力を伝えきり、詳細な情報でミスマッチをなくすこと。
オウンドメディアリクルーティングを取り入れることは、会社の在り方を意識づけ、働く人を理解すること。自社の方向性を見つめ直すきっかけにもなるのではないでしょうか。